
「新しい仕事、どう?」とアメリカ人の友達に聞かれて、相手がこう答えたとします。
It's kind of hard.
ねこりん「種類の難しい」…? いや意味わからん。kind って「親切な」やろ。なんで急に出てくんの。



それな、「ちょっとしんどいねん」やねん。会話でめっちゃ出てくるのに、学校で教えてくれへんやつや。
kind of は「種類」でも「親切」でもなく、断定を弱めるためのクッションです。
辞書には「〜の種類」と書いてあります。それも正しいのですが、会話で圧倒的に多いのは「なんとなく」「ちょっと」「まあ」という、言い切りを避けるための使い方です。
さらに、これを聞き取れるかどうかがリスニングの分かれ目になります。実際の会話では kinda と縮んで、ほとんど1語になってしまうからです。
- kind of の本当の役割と「種類」との使い分け
- なぜ「種類」が「なんとなく」に変わったのか
- kinda と聞こえたときの正体
- sort of・a little・somewhat との違い
- 使いすぎると自信がなさそうに見える理由
書いているのは、関西出身・海外在住15年、アメリカ人パートナーとの日常会話から「直訳すると事故る英語」を発信している @NekorinEnglish です。kind of は会話の潤滑油なので、ここで一度きちんと整理しておきましょう。
【結論】kind of の意味は「種類」ではなく「なんとなく・ちょっと」
先に答えを言います。
kind of+形容詞・動詞=なんとなく/ちょっと/まあまあ
(言い切りを避けて、やわらかく伝えるためのクッション)
a kind of+名詞=〜の一種(本来の「種類」の意味)
ポイントは、a が付くかどうかで役割が変わることです。
a kind of fruit なら「果物の一種」で、辞書どおりの意味です。ところが kind of tired となると、a が消えて、後ろに形容詞が来ます。この形のときは「ちょっと疲れた」になります。
つまり、後ろに何が来るかを見れば、意味は一発で決まるのです。
後ろが名詞なら「種類」。
後ろが形容詞・動詞なら「なんとなく」。
この1行で見分けられます。



後ろ見るだけでええんや。それやったら迷わへんわ。



そうやで。しかも会話で出てくるんは、9割がた「なんとなく」のほうやからな。
なぜ「種類」が「なんとなく」になるのか
この変化には、きれいな理屈があります。
もともと a kind of 〜 は「〜の一種」でした。ここには「本物そのものではないが、その仲間」という含みがあります。
たとえば It's a kind of soup.(スープみたいなもの)と言うとき、話し手は「完全にスープだとは言い切らない」わけです。
この「言い切らない」という部分だけが独立して、形容詞や動詞にも付くようになりました。それが今の kind of です。
| 形 | 後ろ | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| a kind of | 名詞 | 〜の一種 | a kind of tea |
| kind of | 形容詞 | ちょっと〜 | kind of cold |
| kind of | 動詞 | なんとなく〜する | I kind of like it. |
| kinds of | 複数名詞 | いろいろな種類の | all kinds of people |



「一種」から「言い切らへん」だけ残ったんか。日本語の「〜的な」に似てるな。



ええ例えや。まさに「疲れた的な」「しんどい的な」やねん。ふわっとさせる働きは一緒やわ。
kind of は日本語の「〜的な」「〜かな」と同じ働きをします。断定を1段やわらげるための道具です。
「kinda」が聞き取れずに固まった話
ここで私の失敗談を聞いてください。
渡米して間もないころ、カフェで店員さんにこう聞かれました。
店員:It's kinda busy, so it might take a while. That okay?
私:(カインダ…? そんな単語、習ってへん)
私:…Sorry?
店員:(ゆっくり)It's kind of busy.
私:(あ、kind of か!)



知ってる単語やのに、音が変わっただけで別物になってまうやつやん。これほんまに多いわ。
そうなんです。kind of は会話では必ずと言っていいほど kinda に縮みます。 of の f はほぼ消え、前後がつながって1語になります。
この日から、私は「知っている単語が聞き取れないのは、音が変わっているからだ」と考えるようになりました。語彙を増やすより、縮んだ形を覚えるほうがリスニングは伸びます。



going to が gonna、want to が wanna、kind of が kinda。この3つ知っとくだけで、聞こえ方ぜんぜん変わるで。
kind of の使い方7パターン|例文で丸ごと覚える
実際の会話で kind of がどう出てくるのか、頻度の高い順に7つ並べます。
①形容詞をやわらげる(いちばん多い)
断定を避けて「ちょっと」を足します。
I'm kind of tired today.(今日はちょっと疲れてる)
It's kind of expensive.(ちょっと高いかな)
②動詞をやわらげる
気持ちを断言したくないときに使います。
I kind of like him.(なんとなく彼、いいなと思ってる)
I kind of forgot.(ちょっと忘れてた)
③やんわり否定する
相手の意見に真っ向から反対したくないとき、この形が活躍します。
It's kind of hard to say.(ちょっと言いにくいんだけど)
That's kind of not what I meant.(そういう意味では、なかったかな)
④Kind of.(単独で「まあね」)
質問への返事として、単独で使えます。イエスでもノーでもない、真ん中の答えです。
A: Do you like spicy food?(辛いもの好き?)
B: Kind of.(まあ、そこそこかな)
⑤a kind of+名詞(〜の一種)
本来の意味です。物の説明をするときに使います。It's a kind of noodle dish.(麺料理の一種です)。
⑥all kinds of(あらゆる種類の)
複数形になると、「いろいろな」という意味の便利な表現になります。We met all kinds of people.(いろんな人に会ったよ)。
⑦What kind of 〜?(どんな種類の〜?)
質問の型です。What kind of music do you listen to?(どんな音楽を聴くの?)は、初対面の会話でよく使われます。
kind of と sort of・a little・somewhat の違い
「ちょっと」を表す言葉はいくつもありますが、雰囲気が違います。
| 表現 | くだけ度 | ニュアンス | 地域 |
|---|---|---|---|
| kind of | くだけている | なんとなく・まあ | アメリカで多い |
| sort of | くだけている | kind of とほぼ同じ | イギリスで多い |
| a little | 中立 | 量として少し | 共通 |
| a bit | 中立 | 少し(やわらかい) | イギリスで多い |
| somewhat | かたい | いくらか | 書き言葉向き |
| slightly | かたい | わずかに | 書き言葉向き |
大きな違いは、a little は量、kind of は気持ちだという点です。
I'm a little tired. は疲れの量が少し。I'm kind of tired. は「疲れたと言い切っていいのかな」というためらいを含みます。
だから kind of は、感想や意見を述べるときにとくに向いています。



量とためらいか。言われてみたら、たしかに使う場面ちゃうな。



「ちょっと寒い」は a little cold、「なんか微妙やな」は kind of weird。使い分けたら急に上手に聞こえるで。
kind of を使いすぎると起きる3つの問題
①自信がなさそうに見える
すべての文に kind of を付けると、「この人は何ひとつ言い切らないな」という印象になります。とくに仕事の場では、頼りなく見えてしまいます。
提案や結論を述べるときは、思い切って外してください。I think this is the best option. と言い切るほうが伝わります。
②幼く聞こえる
kinda の連発は、若者言葉としての色が強く出ます。年上の相手やあらたまった場では、somewhat や a bit に置き換えるほうが落ち着いて響きます。
③本当に伝えたいことがぼやける
断りたいのか、乗り気なのか。kind of を挟みすぎると、相手が判断できなくなります。
やわらげるのは1文につき1回まで。この目安を持っておくと、ちょうどよくなります。
感想・気持ち=kind of を使う(角が立たない)
提案・結論=使わない(言い切る)
kinda の発音とつづり
会話では、kind of はほぼ確実に kinda になります。
音の変化はこうです。kind の d が弱まり、of の f が消え、残った音がくっついて「カインダ」になります。速い会話では「カナ」に近く聞こえることもあります。
| もとの形 | 縮んだ形 | 聞こえ方 |
|---|---|---|
| kind of | kinda | カインダ |
| sort of | sorta | ソータ |
| going to | gonna | ガナ |
| want to | wanna | ワナ |
| got to | gotta | ガタ |
書くときは注意が必要です。kinda は完全にくだけたつづりなので、メールや文章では kind of と書いてください。友人へのメッセージなら kinda でも問題ありません。
2語だと思って区切らない。「カインダ」でひとかたまり。
強く読むのは kin の部分です。
Kind of. と言われたときの受け止め方
質問への返事として Kind of. が返ってきたら、それはイエスに近いが完全ではないという意味です。
| 質問 | Kind of. の意味 | 次の一言 |
|---|---|---|
| 好き? | まあまあ好き | What do you like about it? |
| わかった? | だいたいわかった | Which part is unclear? |
| 行きたい? | 気は進むが迷っている | What's holding you back? |
| 大丈夫? | 実はあまり大丈夫でない | Do you want to talk about it? |
いちばん注意したいのは、いちばん下の行です。Are you okay? に Kind of. と返ってきたら、それは「大丈夫ではない」のサインです。
ここで流さずに、もう一歩踏み込んで聞いてあげてください。



「まあね」って言われたら、そこで終わらせたらあかんのやな。日本語でも一緒やわ。



そうやねん。kind of は本音がちょっとだけ漏れてる合図やから、拾たったらええ。
kind of を自分のものにする3ステップ練習法
ステップ1|kinda で聞く耳を作る
海外ドラマを1話ぶん見て、kinda が出るたびに指を折ってください。想像より多いことに驚くはずです。
音として体に入れば、次からは無意識に聞き取れるようになります。
ステップ2|感想に1回だけ足す
「おいしい」「難しい」「楽しい」と言うとき、そのうち1回だけ kind of を足します。It was kind of fun. のように、控えめな感想が作れるようになります。
ステップ3|言い切る文と交互に使う
やわらげてばかりでは伝わりません。1文はやわらげ、次の1文は言い切る。 このリズムを作ると、聞き手にとって心地よい話し方になります。
kind of がよく一緒に使われる形|コロケーション一覧
| 形 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| kind of weird | なんか変 | 会話で頻出 |
| kind of like | 〜みたいな感じ | たとえるときに |
| kind of a big deal | けっこう大事なこと | 冗談でも使う |
| What kind of 〜? | どんな種類の〜? | 質問の定番 |
| all kinds of 〜 | あらゆる種類の | 「いろいろ」の意味 |
| that kind of thing | そういう類のこと | 話をまとめるとき |
とくに kind of like は便利です。説明に詰まったとき、「〜みたいな感じ」と言えるだけで会話が止まらなくなります。
場面別・そのまま使える kind of フレーズ12
感想を控えめに言うとき
It was kind of fun.(まあまあ楽しかったよ)
That's kind of interesting.(ちょっとおもしろいね)
I'm kind of into it.(けっこうハマってる)
やんわり断るとき
I'm kind of busy right now.(今ちょっと立て込んでて)
It's kind of far for me.(ちょっと遠いかな)
I'm kind of not feeling it today.(今日はちょっと気分じゃないかも)
説明するとき
It's kind of like a rice ball.(おにぎりみたいな感じです)
It's a kind of green tea.(緑茶の一種です)
What kind of work do you do?(どんなお仕事をされてますか)
気持ちを打ち明けるとき
I kind of miss it.(なんとなく懐かしい)
I was kind of hoping you'd come.(来てくれたらいいなと思ってた)
It kind of hurt, honestly.(正直、ちょっと傷ついた)
それでも言い切るのが怖い人へ
日本語で話すときも、私たちは「〜かもしれません」「〜と思います」と付けて話します。だから英語でも、つい kind of を挟みたくなります。
それ自体は悪いことではありません。やわらげる力は、人間関係を守る技術だからです。
ただし、やわらげてばかりだと、あなたの意見が相手に届きません。だから使い分けを持ってください。感想はやわらげる。提案は言い切る。この2つだけで十分です。
やわらげる技術と、言い切る勇気。両方持っている人がいちばん信頼されます。 kind of は前者の道具です。



やわらげるのも技術なんや。逃げてるだけやと思ててんけど、ちょっと安心したわ。



逃げやない。相手を傷つけへんための道具や。使いどころさえ間違わへんかったらええねん。
kind of の仲間たち|英語の「ぼかし言葉」一覧
英語には、断定を避けるための言葉がたくさんあります。まとめて知っておくと、会話の幅が一気に広がります。
| 表現 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| kind of / sort of | なんとなく | 感想・気持ち |
| sort of like | 〜みたいな感じ | たとえるとき |
| I guess | たぶんそうかな | 自信がないとき |
| I'd say | 私としては〜かな | 意見をやわらげる |
| maybe | もしかしたら | 提案をやわらげる |
| probably | おそらく | 7割くらいの確度 |
| more or less | だいたい | おおまかな説明 |
| or something | 〜とか | 語尾をぼかす |
| you know | ほら、あの | 間をつなぐ |
| I mean | というか | 言い直すとき |
この中でも、日本人にとくに使いやすいのが I'd say です。
「私としては〜だと思う」という前置きになるので、意見をはっきり言いながら、押しつけがましくなりません。I'd say it's worth trying.(試す価値はあると思います)のように使います。
また、語尾に or something を付けると、日本語の「〜とか」とまったく同じ働きをします。Let's grab coffee or something.(コーヒーでも飲もうよ)は、誘いをやわらかくする定番の形です。



or something、めっちゃ便利やん。「〜とか」って言いたいときいっつも詰まってたわ。



誘うときにも効くで。断られても気まずならへんからな。ぼかし言葉は逃げ道を作る道具や。
否定文・疑問文での kind of
肯定文での使い方はここまで見てきました。否定と疑問では、少し様子が変わります。
まず否定文です。not kind of という形はほとんど使いません。代わりに、kind of not の語順になります。
I'm kind of not ready yet.(まだちょっと準備できてないかも)
That's kind of not okay.(それはちょっとどうかと思う)
この形は、相手を強く責めずに問題を指摘したいときに便利です。That's not okay. だと正面からの非難になりますが、kind of を挟むだけで、話し合いの余地が残ります。
次に疑問文です。相手の気持ちをやんわり確かめるときに使えます。
Are you kind of nervous?(ちょっと緊張してる?)
Is it kind of weird to ask?(こんなこと聞くの、変かな?)
どちらも、相手が「うん」とも「いや」とも答えやすい聞き方になっています。逃げ道を用意した質問は、相手の本音を引き出しやすいのです。
日本人が kind of を使えると何が変わるか
最後に、この表現を身につけると具体的に何が変わるのかを書いておきます。
いちばん大きいのは、「わからない」以外の答え方が増えることです。
英語に自信がないうちは、答えが白か黒かのどちらかになりがちです。Yes か No か、I like it か I don't like it か。その中間を言えないので、本当は「まあまあ」なのに「好きです」と答えてしまう。
この積み重ねが、じつは会話をつまらなくしています。本当の気持ちからずれた答えばかりになるからです。
kind of がひとつ使えるようになると、そこに幅が生まれます。「めっちゃ好き」「まあまあ好き」「あんまり」の3段階が言えるようになるだけで、相手はあなたの人柄をつかめるようになります。
大好き=I love it.
まあまあ=I kind of like it.
あまり=It's not really my thing.
語彙の量ではなく、気持ちの目盛りの細かさが会話力です。kind of は、その目盛りをひとつ増やしてくれる道具だと考えてください。



たしかに、ずっと「好きです」しか言えてへんかったわ。それやと自分の話ちゃうもんな。
もうひとつ付け加えると、目盛りが増えると質問されるのが怖くなくなります。答えが2択しかないと、聞かれるたびに正解を探してしまいますが、中間があると気楽に答えられるからです。
会話が続く人と続かない人の差は、英語力そのものより、この気楽さにあります。まずは kind of をひとつ、自分の引き出しに入れてみてください。
よくある質問
今日のまとめ
- kind of+形容詞・動詞 =なんとなく・ちょっと
- a kind of+名詞 =〜の一種(本来の意味)
- 後ろが名詞か形容詞かを見れば一発で見分けられる
- 会話では kinda に縮む。書くときは kind of
- a little は量、kind of はためらい
- 感想はやわらげる、提案は言い切る
kind of は、教科書では「種類」としか習わないのに、現地では別の顔で毎日使われている表現です。この2つの顔を知るだけで、聞こえ方も話し方も変わります。



次に「カインダ」て聞こえたら、それ kind of やからな。落ち着いて聞いたら分かるで。
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さいごに
直訳では届かない「生きた英語」に興味がある人は、@NekorinEnglish でも毎日、教科書には載っていない現地のリアルな言い回しを発信しています。会話の途中で音を見失いたくない人は、この記事を保存しておくと、いざというときのお守りになりますよ。











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